Q23 レザーが変色して固くなりました。 ナトリウムが検出されたので、次亜塩素酸で硬化したのかと思いますが。
Answer: 次亜塩素酸での硬化現象は、今の所確認できた例はありません。 次亜塩素酸は、漂白剤の主成分であらゆる色が抜けます(色素が薄くなる)。 過去、レザーも次亜塩素酸で色が抜けるケースがわずかながらに発生したので、弊社のレザーは、世界で唯一、全商品で次亜塩素酸の色抜け防止の配合をしています。 硬化対策と全く関係のないものです。 現物を確認しますので、送って頂けますか?
(後日) 現物を見ると、硬化のみが発生しています。 色が変わって見えるのは硬化によって、艶消し材が隠れ、艶がでたために光の反射が変わり、色が違って見える。 (色は光の反射角で変わるので、太陽光や蛍光灯、LEDの下、全部で違う色に見えます。) 色そのものが飛んだ、化学変化した、というモノではありません。 頂いた物の表面を、弊社所有の赤外線分光試験器で分子を分析しましたが、ナトリウムは全く出ません。 元々配合していない鉄分子とカリウムの分子が、極極々わずか検出されていますが、椅子の使用中に着いたもので品質に影響するようなものではありません。 ナトリウムも、同じように使用中に何かをこぼし、乾燥によって付着したものでしょう。
硬化とは、塩ビレザーを柔らかくしている可塑剤が、何らかの条件でなくなること。 現場に同じ椅子が何本もあるうち、太陽光にさらされているモノに限定されて発生したようです。 太陽による硬化というよりも、温度変化の激しさによるものとも考えられますが、現物は一般性能は持っていますので、さらに別の要因を考えるべきです。 たまたま、同現場の事例で、過去に寄せられた相談があり、それは他社のモノでしたが、寝られるソファのタイプで硬化しています。 分析結果は、標準ではない人の汗と身体を拭くアルコール類、香料と思われました。 横たわり、寝るので、それらが汗で流れ落ち、太陽光が促進して、硬化したと仮定されました。 このような特殊な例は稀ですが、インターナショナルな場所では、人体に使う香料や身体を拭く剤などが想定外のことが良くあります。
これなら絶対に大丈夫という物はありませんが、顔料で型押しした本革は、可塑剤を使っていないので硬化に強いと思います。 弊社では、対象商品や標準レザーについて、色々な香料等を取り寄せ、24時間浸漬する、その後、365日太陽光に晒す、太陽光暴露試験を開始しました。 数年かけての原因特定作業になりますが、弊社では原因が判れば、常に既存品でも対策配合に変えていますので、通常の改善プロセスに入ったと考えてください。 宜しくお願いいたします。
解答者 矢追社長