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2021年値上について

表題の値上について、先ずは、レザーです。
弊社ではこの10年、毎年のように原材料が上がり続けるコストに対し、高付加価値商品への置き換えを繰り返し、値上げを吸収してきました。 その成果の多くは、ご存じの通りで、高耐久化をすすめ、他のプラスチック製品の寿命を大きく引き離す長寿命商品化。 椅子では、中材が先に悪くなるので、表面材が持ちすぎだという意見も頂くほど、世界的に不具合の少ない長寿命PVCレザーとなっています。

例えば、① 従来の耐アルコール商品と実用での機能比較で、全く差異がでない準耐アルコール仕様のPVCレザー製法確立、またその試験方法の開発: すべてのPVCレザーで実用レベルで十分な準耐アルコール化しました。 準耐アルコールは、耐アルコールより弱いという意味でありません。 準ずる試験での合格を得られたという意味です。 例えば、② 次亜塩素酸Naによる消毒に対して耐える組成の開発: 早くから未知のウィルス対策は、次亜塩素酸Na消毒に絞り込み、十年以上も前から耐次亜塩素酸Na化しました。 ノロウィルスが話題になった時も、既に対応でき、今回のコロナ過でも、既に対応済みと先を読んだ開発で、抗ウィルスレザーにわざわざ張り替える必要がありませんでした。 例えば、③ レザーの意匠化を高度化: ゴルダなど従来の製造で試さなかった手法を数々編み出し、マニエラ等の高意匠化を進め、世界でも稀なPVCレザー群をつくり、PVCの脱安物化を掲げて消えかかっていた日本製造を守った。

その弊社において、更なる各国のコロナ過の影響による値上、また、ここ数年の運送賃の高騰と荷姿条件、化学品規制の証明に関わる膨大なコスト増について、製造や流通業界と話合いを重ねてきました。 誰かが、ガマンするだけのコスト減は、結果的に製造の国外化を加速させるだけで、今ある数少ない製造を日本に残す最後のかじ取りをする時期となりました。 仕入れている先で働く人たちが、効率化で職を失ったり、コスト削減で給与が上がらなくなった、これは販売する私たちが値上をしない責任もあると考えています。 高耐久化と高意匠化したPVCレザー、PUレザーは、日本独自の高い技術に裏打ちされており、販売のリーダー的存在である弊社が、先頭を切って現行の価値に見合う分の値上を断行し、価格の是正をするべきであると結論しました。 大きなリスクを背負うことではありますが、これだけレベルの高いレザーを製造してくれる業界、そこで働く人たちの未来を考えれば、寧ろ持続可能なという曖昧な言葉よりも、一緒にやりましょうという宣言になるはずです。 同意していただけるお客様も同様、一緒にやりましょうという、真のサプライチェーンでこれからも、期待を裏切らないレザー供給を果たしていきます。 値上げをしないで喜んでもらおう、一見、正しい理屈ですが、改良も努力も足りない我々の追従品の範囲でしかありません。 良い商品の価値で競争する私共の考え方に共鳴してもらいたいと願っております。

そしてテキスタイルです。
寂しいもので、先に仕入先が減り、そして製造会社が減り、この30年で椅子張り専門で織物を織る工場は国内から無くなり続けました。 あと数社というレベルです。 皆で生き残りたい、何とか高く買って、高く売りたいという思いと正反対に、糸を一本減らして材料費を下げろ、のりを減らしてコストを下げろ、織物は重いから高い、ニットにして軽くして材料を減らせとコストダウンによる安売りを繰り返してきました。 家具自体が輸入に代わり、その価格に対抗しようという動きであったと思います。 量ばかり、必要だった。 その安くしろというニーズに応え、量は増えても購入額は減るばかり、織物産業で働く人たちの給与があがるわけがありません。 製造分野で若い人がいなくなったのは、当然の流れでした。 我々も自分の設計をつくってくれる工場を探しに海外調達を広げましたが、海外製が安いわけではありませんでした。 テキスタイルにおいては、粗、値段通りなのです。 むしろ日本人の好きな金太郎飴品質では、日本の方が安かった。 また、それがアメリカやEU製だと、毎回色は違うような大したことなくても、日本製の何倍もの値段でも売れるという事実に心がおれました。

海外の人件費高は毎年のことで20年続き、デフレの日本だけが我慢に我慢、その結果は、終わることない我慢でした。 海外の人件費は毎年大きく上がり、日本の比較給与との差は広がる一方で、高い仕入れになっています。 環境対策もコスト高の要因です。 染色による水汚染、その汚染を取り除くエネルギーでCO2が増えるなど、堂々巡りのコスト高です。 為替や運賃高も同様です。 関税が下がる分で助かるケースがありましたが、コロナ過で需給バランスが崩れ、既に値上が1年以上も続いています。 マーケットが小さすぎるが所以のライバル不在と言われる椅子用の織物分野で、値上げを実行することが重要と考えました。

レザーにおいても、テキスタイルにおいても、常に新素材を研究し、積極的に採用し、技術革新をして、値上した商品とは別に、コスト競争力のある商品開発をしてきました。 そして、市場に則した商品開発は変わりません。 価格の安い商品も、沢山、在庫品で用意してあります。 モデラートなどはその例です。 これからも、価値ある超高耐久商品を開発し市場の活性に努めていきます。 今回の値上は不本意ではなく、市場活性の為に上げるべきタイミングだとの判断です。 何卒、ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。

代表取締役社長 矢追和彦

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