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Q15 準耐アルコール機能ってなに? 耐アルコール機能ってなに?

Q15 準耐アルコール機能ってなに? 耐アルコール機能ってなに?


質問例: 新しい総合サンプル帳で、殆どの商品が準耐アルコール機能の表示があるけど、何に役に立つのですか?耐アルコール機能とどう違うのですか?

Answer: 耐アルコール機能から説明します。 PVCレザーは、元々硬いPVC樹脂を柔らかくするために可塑剤という物質を添加しています。 ”固い”のイメージとしては、水道管などに使われる塩ビパイプの太いのを思い出してください。 可塑剤は、加工中も、また、軟質PVCにも欠かせない材料です。 これが使用中に何らかの原因でレザーから出てしまうと、レザーが元の硬い樹脂に戻ってひび割れてしまうのです。

幾つか要因があるなかで、原因の一つと考えられるのがアルコール類です。 アルコール物質は可塑剤を呼び込んでしまうので、レザーから出てしまいます。 その対策をしたものが耐アルコール機能レザー、簡単に言うと、硬化やひび割れを抑える機能なのです。 抑えると言っても、可塑剤の特性から化学的に永久な物ではなく、反応を遅らせる=幾らか安心という機能なのです。

アルコールの影響=硬化の速度を確かめる為に、機能なしレザーと機能ありレザーを、24時間もアルコールに浸漬させる強制テストを行います。 普通アルコールは揮発するので、24時間浸漬するのは、椅子の使用条件と可也異なり、実用的な方法ではありません。 しかし、どれくらい硬化が認められるか、短時間で検証するには判りやすい方法であり、私共が承認して指定してきた方法です。 必ずブランク品と対策品を比較検証したもので、耐アルコールの性能判定を行っています。 実は、この試験方法で、耐アルコール機能レザーも硬化はしています。 無機能の耐アルコールを施していないレザーでは、間違いなしにカチカチに固まって折り曲げできないのに対し、耐アルコール機能レザーの方は、結構硬いがまだ屈曲できるという状態になります。 其のまま、24時間以上浸漬し続けてれば、何時かは無機能レザー同様に硬くなってしますのです。

耐アルコール機能 → 無機能レザーと比較して、硬化の進捗が遅い と覚えて下さい。

次に実用面で見てみます。
椅子用のPVCレザーでアルコール類に触れるパターンは、酒類、消毒類、整髪料が考えられます。 耐アルコール機能のない一般レザーは、多くの飲食店で使用されていますが、短時間で硬化する例は報告がありません。 (海外製レザーでは、安い粗悪な可塑剤が使われ、硬化が早い例が多数報告されています。) つまり、酒類での耐アルコール機能は不要と考えられています。 また、整髪料については、理美容椅子に使われているレザーが耐アルコール機能でないにも関わらず、短時間で硬化するという報告例がありません。 つまり、理美容業界でも耐アルコール機能は不要と考えられているのです。 私共では、日本製のPVCレザーおいては、耐アルコール機能は消毒用アルコールに対して強ければ充分であると考え始めました。

そこで、一般的に市販されているアルコール濃度が60%から80%の消毒液を、スプレーで噴いて、其のまま放置したり、拭取ったりする実用に近い再現試験を考え(特許申請済み)、各PVCレザーを1年間掛けてテストをくり返したのです。 すると、プリント等で色が薄くなる商品が一部出たものの、硬化は殆ど見られませんでした。 この段階で、色が薄くなる現象は予期しておらず、全商品で使用している顔料の問題を精査・発見し、色抜けが無い様に対策をうちました。 表面コーティング層も確り施して、万全な対策をしたところ、500回噴霧拭取りも、1000回、2000回と結果が殆ど変らないことが判りました。 一般ユーザーのレベルであれば、新テストに合格した商品を従来の実用とはかけ離れた耐アルコール試験とは異なるが、それに準ずる実用に沿った試験方法として、準耐アルコール試験に合格=準耐アルコール機能として、安心頂こうというと考え新たに設置したのが準耐アルコールです。

病院の事情: ノロウィルス対策では、アルコール消毒は有効でないとされました。 次亜塩素酸による消毒が自治体や病院関係で提唱され、指導されるのが本当の世の中です。 もはやアルコール消毒は、万能ではない時代と世間の認識が浸透していくだろう、そういう実態の背景も手伝って、準耐アルコール機能は実際の使用方法に近い試験方法に合格したものに付けられ、それがアルコールに対応する基本機能であるという我々の提言であるのです。 わざわざ高価な耐アルコール機能を、いかにも万能の様にうたい、高額商品化するのは、私共PVCレザーのプロとして疑問に思っています。 いずれにせよ、従来の耐アルコール試験合格品であっても使用条件が悪ければ硬化してしまうのですから。 最終判断は、使用されるお客様にして頂くことになるので、より判りやすくして行きたいとおもいます。 過去販売されたもので、硬化した例がある用途か、そうでないのかで判断していただけくのが良いと思います。 ついでに宣伝いたしますと、弊社のPVCレザーでは、全商品で耐次亜塩素酸消毒に対応しています。 他のアジア国産レザーは、硬化も簡単にするし、次亜塩素酸でレザーが痛むなどで、1年後の使用商品を比較して貰えば、安い買物をしたつもりが、高い買い物をしたことに気が付くと思います。 弊社レザーは、一般使用で耐久性が更に高く長く使える様に、高度に設計と改良がされているのです。 弊社の安心安全のロングライフ設計は、従来から社是として行ってきたもので、SDGs対応などという言葉は後からついてきたものです。

解答者: 矢追社長

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