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Q14 再生皮革、再生革ってなに? 大丈夫ですか?

Q14 再生皮革、再生革ってなに? 大丈夫ですか?


質問例: 中国製の椅子で、パイプ椅子ですが厚い革で覆われています。 再生皮革という表現があり、革に見えます。 これはどうやって出来ていて、そして安いのですか? 日本で手に入りますか?

Answer: 食堂に使うような椅子ですね。 数十年前は分厚い本革で作っていました。 当社でも同じ用途向けでPVCでサンプル帳に載せていた時代もあります。 ムービーという名前でした。 今でも中国や東南アジアの飲食店等で良く見かけますが、ボロボロになっていますよね。

構造と製造方法を説明します。 本革を作る時には、厚みを一定にするためにすき加工をします。 裏面の繊維質を削って一定の厚みにする工程です。結構な量を削るので大量の削りくずがでます。 また、仕上げに革らしいというか、形の悪い部分を切って綺麗にするのですが、これらの工程で、可也の革のクズが出るんです。 これらを細かく粉砕して 皮粉とも言いますが、産廃として処理するのも大変ですし、資源ももったいないというので、ボンドで固めて板状にするんです。
アクリル樹脂などで硬くする場合もありますが、殆どがウレタンボンドで、革の様に屈折するように作るのです。 ロール状にしてデリバリーする場合もありますし、板状の場合もあります。 用途は、研磨ベルト。適度な強度があり、磨くのにいいのですね。 それから、靴の踵の重ねた皮の部分、革ベルトの芯材ー厚み出し。 全部、短期使用の物ですね。 クズだから原料費もボンド代中心でしょうか。 この革板の上に、革のシボを押したウレタンフィルムを貼って、本革に見せてしまうというのが、おっしゃられているタイプになります。

手帳とか販促グッズなど短期使用のはずが、椅子に使ってしまうので問題です。 加水分解について説明したQ&Aがあるので、それを参照してください。 ウレタン樹脂は分解してしまうのです。 ましてやウレタン系ボンド程度の単価では、大したことありません。 安いですが、使用は短期というのが定石です。 中国や東南アジアで使われていても、彼らはボロボロになっても、安く買えることが第一ですからクレームにしません。 しかし、日本では大変なことになりますから、誰に売るのか、幾らで売るのかというのが焦点になるのではないかと思います。 弊社では、ノークレームという容で手配は可能ですが、大した実績はありません。 過去、数点弊社に加水分解テストの依頼があり、持ち込まれていますが、イタリア製だけが5年耐久でした。 唯、5年でも弊社基準の半分ですから、不合格でした。

解答者: IDC株式会社 物性試験担当者

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