そもさんせっぱ

Q29 人工皮革は繊維ですか?

Q29 人工皮革を探していますが、見た目が繊維で作られていますが、織物でしょうか?
A29 繊維製品です。 人工皮革は、本革でいう、スエード(表面を擦った革)に似せた人工物です。 人も牛も、皮膚の下はコラーゲンなどの繊維質が絡み合って組織をなしています。 繊維を絡ませた不織布を柔らかい樹脂で固め、似せています。 使用中に起こる様々な問題を解決した繊維系商品です。

*人工皮革=スエード調と覚えるといいでしょう。 合成皮革=皮革そのものに似せたもので、PU樹脂を使ったレザーを指します。 一部業界では、PVCレザーを合成皮革=合皮という表現をしている例がありますが、PUとPVCでは価格帯もグレードも違うので、PU樹脂を合成皮革、PVCはレザーと表現してください。
*不織布(繊維をシート状に絡めただけ)をボンドで固めると、皆さんが良く見る包装などに使う”やすい不織布”となりますが、不織布の特性は引っ張ると伸びが付いてこずに割ける、伸びたら伸びっぱなしで変形する、ボンドが紫外線や酸化で劣化すると強度が著しく落ちるなど、椅子張りでは耐久問題で使用できません。 そこで、同じ不織布構造でも、人工皮革では、出来るだけ細い繊維を使用して、絡む点を多く作ることで強度を上げ、繊維が増えると固くなる現象を和らげて、滑らかなスエードの様にしなやかに仕上げます。 仕様する繊維はその細さから、マイクロファイバー(1d以下の繊維=1gで9000m以上=髪の毛の100分の1の太さ)と言われる繊維で、水圧(シンコーのラムース)や針(ニードルパンチ 他社ウルトラスエード)で絡ませて、地厚に仕上げます。 一般の不織布は、引っ張ると伸びっぱなしになりますが、椅子の場合は、スパンボンドと言われるシート材を挟み込んで伸びっぱなしの防止をしています。 人工皮革は、服用でも高級品ですが、椅子用の仕様よりは挟み込んでいない分、手間がかかっていません。 更に、耐加水分解性に優れたウレタン樹脂を使用して、分解しにくい構造にしています。
*シンコーのラムースは、牛のスエードよりも高級かつ貴重なカモシカのスエードを目指した人工皮革であり、より滑らかでこだわりのある多くのファンに支持されています。 引掻きに強く、高級素材として、ペット業界を含めアウトドアユースなどに使用しています。 尚、海外のノンブランドの粗悪な人工皮革は日本の湿気の多い気候では分解が早く進み、使用年数が短くなりSDGs的にもそぐわない商品です。 そちらは、ケースメントやラッピング等、コストに見合った用途でお使いください。

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