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Q33 界面活性剤がアルコール消毒の代替となることを経産省が発表していますが、教えてください。

Q33 界面活性剤がアルコール消毒の代替となることを経産省が発表していますが、教えてください。


Answer: 界面活性剤を誤解を恐れずに簡単に説明しますと、親水基と親油基の両方を持つ材料で、石鹸は代表的な界面活性剤です。 合成洗剤で使用される主成分はアルキルです。 経産省に列挙されている界面活性剤を、市販されているものに分けると、主に2タイプ。 洗剤型と消毒液型です。 一口に界面活性剤と言っても、汚れ落としの他、消毒液としても使用されています。

経産省の発表の仕方は、固定企業に偏らないように商品名を上げておらず、有効成分だけの名称を公表していますが、これは不親切ですね。 消費者層の殆どの人が、化学は分からないのですから。 例えば、塩化ベンザルコニウムが上げられていますが、これ、昔から消毒液として薬局で売られているものです。 オスバンやウェルパスなどがそれ。 一般論として界面活性剤でも、一部のエンベロープ型に効いて、一部に無効とされているので、今回は、特定のコロナに効いたよ、という実験結果の発表だとは推測できますが。。。

汚れ落としの原理は、乳化です。 油が親油基とつき、水と親水基がそれにつき、水がながれると、擦らずに流れ落ちるというものです。 界面活性剤は、食器用洗剤、風呂用洗剤で擦らなくても落ちますとうたっている主成分と言っていいでしょう。 この他、洗剤には酵素で分解する酵素入りや、白さをうたうものでは蛍光剤(反射させて白く見せる)入り、ポリエステルなどを洗う場合に再汚染防止剤(汚れが取れても、洗濯機内で他の衣料に汚染物が移動してしまう)入りなど、副成分もはいっています。 カチオン、アニオンなどのイオン系、酸やアルカリなどのpH系、色々な成分で界面活性剤の有効度を上げています。 霧吹きで拭いて流すだけよりも、擦った方が、成分と汚れが混ざり乳化が進みますし、液だれでムラができるのが普通なので、現実的には軽くこすった方がもっと落ちます。

洗剤によっては、様々な界面活性剤を入れて、香りづけし、殺菌作用もうたい販売してます。 但し、全部の菌には効きませんと書いてあります。 エンベロープのあるウィルスに対して、界面活性剤が主成分であれば、その多くは殺菌効果があると思いますが、ウィルスも多用ですので効かないタイプが一つでもあると言い切れないのが表示法の問題です。 目的が消毒ではなく、汚れ落としですので、殺菌作用などをうたう、うたわないは、試験するコストに見合うかだけという背景もあります。

我が家の食器洗剤をみると、界面活性剤が8%近くも配合されています。 これは、汚れに対して得意不得意があるので、色々混ぜることで、あらゆる汚れに対応する意図でしょうが、界面活性剤の濃度が高くなってしまう結果だと推測します。 個人的には、本当はそこまでの濃度は要らないと思っています。 例えば、家具用洗剤○○ペットでは、想定されている汚れに強い界面活性剤だけを使っているので、0.2%と濃度が低いのですが、泡立てて汚れを浮かせるタイプなので、界面活性剤の濃度が低かろうが落ち方に変わりはありません。 しかしながら、ウィルス消毒だという前提であれば、界面活性剤の濃度が低いと活性が下がる可能性は無いことは無い。 そこで、確実なのは、さっと一拭きではなく、3-5分置いてから拭き取る、その後、ぬるま湯で拭きとる、そして乾燥したタオルで拭きとることを推奨します。 時間を置けば濃度が低くても殺菌効果が期待できます。

あくまでもメンテナンス利用です。 完全殺菌というなら、もう、素人お手上げですから、そこまで神経質になる人や上げ足を取るような人は、業者に任せてください。 気持ちの問題なので、周りを巻き込んでの時間とお金の無駄となってしまうでしょう。 元々、ウィルスや菌と一緒に生きているのですから、”ここまでの範囲”であって当然です。

手に安全なレベルの一般市販の食器用洗剤(中性)であれば、テキスタイルやレザーのメンテナンスに使用して頂いても問題ありません。 元々消毒用で売られている場合は、濃い濃度なので、薄めて数回拭き取る方が良いでしょう。 たまに、対象の界面活性剤にプラスしてアルコールなどが混ぜてある消毒液があるので、この場合はアルコール濃度を気にしてください。 食器用の中性洗剤が一番簡単で安心です。 心配な場合は、目立たないところで処置して、問題がなければ全体を拭いてください。

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